バランス

ものごと、どんなことであってもバランスだなと、頓に思うこの頃。
例えば善悪であっても、善100%悪0%なんて状態は存在しない。一般に「善」といっても、常に善85%悪15%だったり、ある存在が善に傾いていても、その存在の中では、同時に悪が矛盾した状態で混在して宙吊りのまま打ち出されていたり(とある芸術家がいった対極主義みたいに)。
むしろ、善と悪は対立しているのではなくて、悪は善のバランスが崩れている状態といえるかもしれない。ある善の状態が、とある局面においては善であっても、その同じ状態を別の局面にうつしたら、とたんそれが悪、つまり善のバランスがおかしい状態に陥ってしまったり。絶対的な善なんてありゃしない。それは美と醜でも同じ。そんな中で、絶対的な美を探し求めて来たのが芸術というものだったのかなあと思ったり。絶対的な美なんて存在しないという絶望的な状況の中で、そういう模索がずっと続けられてきたのかもしれない。
結局何なのか、といえば、自分という存在以外に絶対的なものはないということ。それ以外は、総てバランスで、存在と存在の相対で、この世の中は出来ているんだよなあという、諦めというか達観というか。そんな風に思うわけで。