水兵きき『みかにハラスメント』読了。



しばらく積んだままだったのを読了。ああ、「みか」に「ハラスメント」しちゃうぞ、と。そういう意味でしたか。
うまい! その手があったか! 表現は同じであっても、その背景の構造を他の場所へ持って行ってしまえば、表現の価値そのものが変化する、という非常にコロンブスの卵的手法。感服いたしました。青年マンガ的な描写であっても、世界自体をファンタジーにしてしまえと。そうすれば万事O.K.で、青年マンガ以上のエロさを纏わせることが出来ると。新鮮さもあいまって、とっても効果的。
いやあ、評判通りにえっちでありました。男→女の羞恥心を変化させる、犬にしてしまう、幼児にしてしまう、とシチュエーションはかなりやばいのに、その転換のきっかけが大変健全で、そのギャップが面白い。はずかしー状態に、必然的に追い込まれてしまうヒロインがイイです。エロ表現に必要な重要な要素の一つは、そこに到る契機と必然性だと思うのですが(この部分が描かれても描かれずにほのめかされただけでも)、そのきっかけを、こんなにあっけらかんとしたところに設定できるとは、驚きです。肉体的に辱められるエロ(犬にされる)。精神的に責められる(幼児にされる)という状況をも、通常のマンガで描ききるとは。
かわいい絵柄でも内容はハードでエロいという成人マンガは数多くあれど、これほど深いところでエロいものはあまりないでしょう。エロ表現の評価基準として、下品で直裁ですいませんが、「立つ」か「立たないか」という判断が成り立つとすれば、本作は「立つ」です(でした)ね(笑)。
ストーリーそのものや、画風、シチュエーションは突飛ではないものの、発想の素晴らしさがすべてを引き上げてすごい作品になっていますよ。いってみれば、人間の想像力への信頼が生み出したものでしょう(笑)。