『魔法少女リリカルなのはA’s』雑記28―『魔法少女リリカルなのはA's THE COMICS Epilogue of ACES』

『コミックキラリティー』Vol.2に掲載された『魔法少女リリカルなのはA's THE COMICS Epilogue of ACES』を読みました。
『SS02』の発売後間もないですが、その内容をいくつかの点で補完するというか、『SS02』→『Epilogue of ACES』と楽しむと、より深く味わえるような気がする。いつもながら『なのは』は、このあたりの商品の出し方のタイミングというか、メディアをまたいでの展開の構成の仕方が巧みだと思う。


あの6年後に至る、時空管理局への入局時から話ははじまる。
時空管理局の制服に身を包んだなのは、フェイト、はやて。かっちりした感じのジャケットにタイトスカート。大人な感じも漂わせて、これはこれでまたよいな(爆)。
それぞれの部署で、それぞれの目指すものに向かってスタートする。執務官になるための勉強をするフェイト。はやては特別捜査官ではあるけれど「でも指揮官適正も高いので」という点にはかなり「うんうん」。そしてなのはは武装隊の士官からスタート。目標は「戦技教導隊」入りというけど、『SS02』では音だけで聞いていていまいちイメージのわかなかった「せんぎきょうどうたい」がはっきりとわかりました。


「去年の春 あの時僕がなのはと会ってなかったら」からはじまるユーノの話。ユーノに、レイジングハートに、魔法に出会えたことに、そしてフェイトに、闇の書事件に、はやてに関わることができたことについて「本当によかったと思ってるの」と答えるなのは。
いくつもの見えない選択肢を経て、今のこの瞬間に立っている、立っていることのできる不思議。その選択の一つがずれていただけでも「今」はないという必然。「今」が手ごたえのある確かなものであるならば、笑顔で、元気でいられるならば、それを誘った「過去」も確かなものであるのだから、かけがえのないもの―「本当によかった」―であると同時に、それは消極的に省みる必要はないものでもある―「会わなかったら」は考えなくてもいい―のだろう…か。そして確かな「今」は、「過去」が「今」を導いてきたように、新しい夢―「未来」を作っていく。未来はこれからはじまってゆく。

ユーノくんにはまだ教えて欲しいこととかたくさんあるし
いまも一緒にいられるのすごく嬉しいから
「会わなかったら」はあんまり考えたくないなぁ

IDさんの感想を読んでいて、確かに、まさに、これは、この『なのは』という作品と、それに触れている自分自身の関係性でもあるなあということに気づかされ、深く実感しました。


模擬戦で、訓練だったはずなのに、いつの間にか本気になっちゃって周囲を壊しちゃう。そして最後にはやっちゃって残骸の中で笑いあう。とても王道なオチ方といえましょう(笑)。そしてなのはの物語の閉じ方としてはぴったりな一つのありかたでもあったかと思います。いつだって全開で取り組んで本気で笑いあう。そういう「らしさ」のあふれる終わり方でした。最後の、ぼろぼろになりながら互いに笑いあう3人の一コマは、毎日をたのしくくらしているであろうその日々を暗示しており、本当に嬉しい描写でした。

未来はこれから
はじまってゆきます


目の前にあるのは新しい夢
大人になっても忘れない
巡りあいと願いを胸に抱いて


わたしたちは笑顔でいます
元気です

「大人になっても忘れない」は『Spritual Garden』の歌い出しの非常に印象的な一節。忘れないのは「めぐり会えた日」を。これはあの6年後に、そしてさらにその先のなのはたちにつながっていく言葉。そして「わたしたちは笑顔でいます 元気です」は『Little Wish 〜lyrical step〜』の中の耳に残るフレーズ。それは今のなのはたちを象徴しているように思う。


物語が終わっただけ、語られることが止まっただけで、なのはたちの生きる世界は変わらずにそこにあって続いてゆく。お話は閉じられましたけど、いつも、すでにそこにあるその世界が身近に感じられる、そんな気がするのです。