『彼女たちの流儀』雑記7

コンプリートの一歩手前まで。
とっても見たかったものを見ることが出来たので、大いに満足。
ヒロインが自ら幸せになるのは、大変正しいことだと思うのです。
以下、ネタバレあり。

私の世界は、やさしい嘘に満ちているのだ。

エクストラシナリオ――『月の箱庭』読了。


見ていたのに見えなかったものが見えるようになるのは、純粋に面白いことだと思う。鳥羽莉からの視点はすばらしい。ゲームらしいやり方の仕掛けだと思う。
こういうものが読みたいなという想いは随分前からあったような気がする。女の子が自分の力で幸福になるような、そういう話を、ヒロインの視点から見たいなと、思っていた。それが満たされた満足感というのは、存外に大きいものだった。こういう形式のエロゲ、もっと増えないかしら(もしくは、他にないだろうか)。
という意味で、このシナリオは鳥羽莉のためにある世界。そしてこのシナリオが存在するためには、他のキャラクターをめぐるそれぞれのストーリーが必要だったと考えれば(朱音が劇のシナリオを書いていたこと、涼月が胡太郎が鳥羽莉に囚われていることを看破したこと、せせりのまっすぐな告白、火乃香さんの管理官云々の話、などなど)、自明のことかもしれないが、『カノギ』はまさに鳥羽莉を描くためにあったんだろうなと。とはいえ、鳥羽莉と共に、涼月を好きな気持ちには変化はありませんよ!


あらかじめ、ナイトが「ご都合主義」そのものであるということを、火乃香に語らせてしまっているので、とりあえず「ご都合主義だ!」という批判はかわせているのかな。まあ、ひとつの可能性の世界と考えれば、もともと何でもありなのではあるが。
とはいえ、この辺りは瑣末なことで、読んでいた中では、まったく気にもならないこと。


エピローグのシーン名は『真実』だった。通常の鳥羽莉シナリオでは、最後は『本当』だったっけ。双方ともフェイクではないという点で共通しているが、それぞれの結末から得られる感慨はまったく別の種類のものだった。いずれにせよ嬉しいものであることには、間違いはない。どちらの方がより好きか、と聞かれれば、『本当』の方と答えはするけれども。なんというか、『本当』の方は、演劇的な終わり方のような気がする。ある意味リアル。その点、もう一方の『真実』は破格だ。そこにあるのは鳥羽莉の「真実」のように思える。そんな強引さがいいのだ。


忘れてはいけないのは、鳥羽莉を導いた朱音の魅力。やっぱいいわ。本質的な
強さ。見ていてきもちがよい。夜に棲んでいる鳥羽莉を否応なく引っ張り出しちゃう。このエクストラシナリオの後で、もう一度朱音シナリオは読み直す必要がある。朱音と鳥羽莉の関係を、その距離感を再確認したいので。


ところで。鳥羽莉の甲高くて細い「声」は大変好きなのですが、それで「らめぇ」とかいわせるのはちょっとムリがあるように感じたのは私だけなのでしょうか。そんな時にでも、鳥羽莉はロレツまでは乱れないほうがラシイと感じたのだけど。その点、朱音はどんどんやれ、ですけどもね、もちろん。やっぱり姉妹なので、その辺りは仕方ないのでしょうか……。