『魔法少女リリカルなのはStrikerS』第3話「集結」

本筋とは外れるんだけど、「おなじだおなじだ♪」が妙に耳に残る(笑)。
以下詳細な内容にも触れるので、ネタバレありです。

はやて「目指した夢は、少し長い時を経て、今やっと手のひらの中」
フェイト「想いと願いは違っても、一つの場所に集まって、一つのことを今始める」
なのは「出会いと再会も、始まりはここから」
はやて「それぞれに進んでゆく道の、ここは小さな通過点」
フェイト「集まり結ぶ、新しい絆」

OP前のこれがあることが、やっぱり『なのは』だ。2話冒頭でも思ったことだが。
終わりは始まりであり、始まりは終わりで、でもその双方とも少し離れてみれば「通過点」と、それは脈々と『なのは』的であり。
その「通過点」にいる今の彼女たち。

はやて「私たちが局入りして、かれこれ10年。
やるせない、もどかしい思いを繰り返して、やっとたどり着いた、私たちの夢の舞台や。」

やはりここには、この『StrikerS』の物語を描くには、『A's』から10年の時の経過が必要だったのだと思う。
はやてが、シグナムが、ヴィータが、シャマルが、そしてなのはが、フェイトが、それぞれに無力感を強く実感したからこその、六課の今があるからだ。その実感は、その10年という長さの時の流れこそが表現できるものだ。それが彼女たちの今を動かす動力になっている。
その舞台のためならば、あの見事な後見人の人選のような、部隊の運営には重要であり、容易ならないであろう、しかし着実な根回しも抜かりない、ということだろう。
これは例えば、コミックのEpisode-3「A’s to StrikerS」Phase-3の感想でも触れたが、「自分の技術や力で自分の好きな空と地上を守りたい」と、「自分にその力があるならば……」と感じ、迷わずそれを使わなくては決意する、第1期から続くなのはのなのはらしさにもつながるものだ。その力を存分に発揮するために、発揮できる環境すら、自ら切り開こうとするその姿勢が。
以前、『A's』第11話「聖夜の贈り物」の感想でも引用した、無印『なのは』の公式ページのキャラクター紹介から、なのはの紹介を再度引いておく。

ひょんなきっかけで「魔法少女」となってしまうが、ジュエルシードを巡るさまざまな人々の思いや、発生してしまう事件に心を痛め、「自分には、困っている人を助けてあげられる力があるのだから」と前向きに魔法の力と向き合うようになっていく。


それにしても、改めて考えると、「少し長い時を経て」来たというその10年というのは、やはり長い。
八神家のあの穏やかでにぎやかな食卓から10年。場所は変わり、料理も作るものから注文するものへと変わってしまっているものの、やはりこの“食卓”は変わらないわけで。もちろん、新しい家族も加わっているわけだが。

シグナム「我ら守護騎士、あなたと共に」

その言葉と想いは、かつてと変わることがない。
同じように、他者を交えない、二人だけの向かい合った会話の関係の中でも、かつてと変わらないあり方が見られる。例えば、今話のフェイトとシグナムのように。あるいは自分たちの部屋でのフェイトとなのはのように。
ただ、

なのは「育てるよ。
あの子たちがちゃんと、自分の道を戦っていけるように、ね。」

という、育てるということは、今までになかったように見えるものだ。別のシーンでの、こんなにちっちゃかったのが成長してというような、グリフィスへの対応もそうだし、新人を訓練する彼女の姿もそうだが。
でも結局は、先も見たように、「自分には、困っている人を助けてあげられる力があるのだから」というところに、戻っていくんじゃないかと思う。「育てる」という今のなのはを突き動かしているものも。
そういえば、この「育てるよ」の言葉に続いて映像として被せられた情景は、星空、夜空だったなあ。


それにしても、前話、今話のように、顔見せが、丁寧かつゆったりと行うことが出来るというのも、今回の2クールの大きな恩恵だろうか。ああ、この余裕も、これまで感想で私がよく書いてきた「アニメらしさ」につながってるのかな。多少楽に見ることが出来るのも、やっぱりこのおかげなのかもしれない(笑)。


ああ、そうだ、「新しい絆」について、まだまったく触れていないんだった。とはいえ、新人同士の、新人とエースたちの「新しい絆」が深く結ばれて行くのはこれからだけど。
戦闘訓練の中、ガジェットドローンへの対抗策を思案する新人たち。

スバル「ティアが何か考えてるから、時間稼ぎ!」

「スバル!」というティアナからの呼びかけを受けただけで、エリオに向かって指示するスバル。このコンビに結ばれた、いい関係だ。その後の「うっさい!」も含めて。
そして今回もやっぱりティアへの愛情をさらに深めることが出来たのでした、私が。