『魔法少女リリカルなのはStrikerS』第4話「ファースト・アラート」

第4話感想。以下、詳細に。

スバル「見つけてもらえて、めぐり合うことができた、新しい居場所」
ティアナ「ここでもやっぱり、空を見上げて戦っていく日々」
スバル「あこがれ続けた人がいて、大切な友達と一緒で、新しい出会いもあって。
思いがいつか、あの空へ届くまで」
ティアナ「遠くて高い壁だって、心を決めて立ち向かう」
スバル「みんなで、一緒に」

改めて思い返してみれば、地球の海鳴に生まれたなのはが、めぐりめぐってこの別世界ミッドチルダにいるというのは、いったいなんというめぐり合わせだろう! はやてだってそうだ。フェイトとの出会いだって。
このモノローグ(というかなかばダイアログ?)のスバルをなのはに、ティアナをフェイトに置き換えても、まったくこの言葉たちは機能するだろう。ただなのはの時は、「あこがれ続けた人がいて」というのは具体的にはなかっただろうが(そしてなのはとフェイトにとって空は見上げるだけではなくて手の届くものだったが)。でもなのはが魔法と関わりを持ったのだって偶然に「見つけてもらえた」からで、魔法少女、つまりは魔導師という「新しい居場所」を得たのだって「めぐり合うことができた」からに他ならない。


さて、今話の歯磨きからはじまる日常。その、いかにも生活の実感のある、手触りのある日常が描かれるのはいかにも『なのは』だなあと思う。そこに「お風呂」がセットになっているのも。今回の場合シャワーだが。まあこれは「サービス」か(笑)。しかしあれです、訓練時のTシャツ姿の方が、個人的に妙にサービスですよ。特にティアナ。
そして続く訓練の中で、アンカーガン不発の場面はかわいかった。しかし「バカスバル!」が出るといい。このコンビ!って感じするなあ(笑)。
さらに訓練は続いて。エリオの攻撃を受ける直前のなのはの、瞬間の笑顔はとても印象的だったけど、育てる楽しみのそれだったのかしら、やはり。

なのは「シルエット!やるねティアナ」

新人たちの間ではもちろん「ティア」という呼称が使われるんだけど、また後の方でリインも「ティア」と呼んでいるけれども、やはりここは「ティアナ」でなくては。あるべき絶妙な距離感がある様子がうかがわれて良い感じ。なのはが「ティア」という呼称を使うことがもしあるとすれば、それはちょっと面白そうだ。


そうそう。ところで第4話で話題となるであろう(なっているであろう)能力限定=リミッターの話。作中この話が初めて出てきた時、一瞬「それなんて軍縮」と思ったが、よく考えたらそういう構図じゃなかった。「部隊ごとに保有できる魔導師ランクの総計規模」ということね。
今話前半に描かれた朝の訓練時の、なのはの、力をそれほどは出していないように感じられた様子の裏づけになっていたのも、こういうことだったわけか。
うまくその「総計規模」の枠内に収めるのは、いわば「裏技っちゃあ裏技」なわけで。言外にあることは認められているけれど、決して正式なものではない。ならば最終的に成すべき目的のための、今を乗り切る方便と解釈する。いわゆる「組織」なんて所詮はそんな融通などないものだと思うのだが、その中でいかにうまく立ち回るかというかが肝要なのだろう。六課はそういう中で苦労を重ねてようやくに立ち上げられたもののはずだ。こういうものは、『なのは』においては、あるいはクロノの「世界はこんなはずじゃなかったことばっかりだ」までつながる流れかもしれない(大げさですか?)。こういう妙に現実を反映しているようなところが好きだ。
そして事情というか現実問題として、これが設定として必要だからというのがあるのかもしれないけれど、そのことで面白くなるなら、そこになんら問題はない。
なのはが新人たちにいった、このリミッターのことは「心の片隅くらいでいい」というのは、あるいは同時に視聴者に向けられた言葉なのかも。というわけで、私はとりあえずそんな感じに覚えておこう。


そのリミッターの話題と共に、今話でことさら強く感じられたのは、未だ助走期間であったこと。多少進行がゆったり過ぎる気もしてきた。
無印と、そして『A's』と、その余裕のない展開が好きだったということもあるし、限定されることで現れる面白さというのはあるわけで。それが1期、2期の魅力を支えていたものの大きな部分ではあるのだろう。
『StrikerS』1話や、『A's』1話のような緊張でがちがちになりながら見させられるような話を期待し続けているので、ちょっと肩透かしという感はある。
ただストーリー全体の中の部分ということで見れば、ここがここだけが表現で着うるの役割を負わされてこのような展開になっているということもできるかもしれない。ただしそうならば、数ヶ月という長い期間をかけて、週毎にという切片の積み重ねで見せていくTVアニメーションというメディアではきついかもしれない。その回、その回毎で見たものが、その場では、全てとなるわけだから、やはり。そのバランスは難しいところ。
それでも。ついに新デバイスたちの登場であり、最初のアラートですよ。この後の激しい展開のための長い助走だったのでしょう。現場へ向かうヘリ内、緊張の面持ちの面々、特にキャロ。その緊張感たるや戦地へ向かう空挺かと(笑)。


そういえば、改めて1話から今話まで見直していて思うのだけど、感じ入る点のある「会話」というのは、一対一、閉じられた二人だけの話だったりするなあと。
この4話でいうのならば、移動する車中のフェイトとはやて。はやての会話に応える、運転するフェイトの、「そっか」「うん」などのシンプルな落ち着いた声が、しっくりと来て、とても心地よい。大人びて、よりしっとりとした印象を受けるのだけれど、それでもやっぱりあの頃の口調を思い出させて。
また例えば、カリムとはやての会談。

はやて「まあ、何があってもきっと大丈夫」

はやてのそんな言葉はいつも人を安心させる。これなどは、「まあ、なんとかしよ」(『A's』第11話)を思い起こさせるものだ。指揮官としての素質であり、同時に彼女の魅力そのもの。
確かにカリムの語る内容は不安に満ちたもので。新型の「ガジェット3型」や、
レリックの可能性の高い新貨物、「レリック事件」も、「その後に起こるはずの事件も」などというような。特に「起こるはずの」というのは不穏当だ。レリックが出てくるのが早いというはやての反応もなにやら。何らかのストーリーのポイントへとつながるところであるのは、間違いないだろう。