《ToHeart2》関連本の感想3
魂惹かれた作品の感想をメモ。
OTAUT-R『×○×○×○』(2005年3月13日、ToHeart2〔愛佳〕)
いい二次創作は、元作品に引きずられていないよなあ。その名前の通り、完全に「創作」になっている。その世界をベースにしていても、新たな世界を作り出しているよなあ。それは挿絵でも同じことが言えるだろうし。登場人物が動いている、生きている感じがするのはそういうことだろう。
で、そんな印象の作品ですよ。読み応えのあるストーリー。表現とストーリー構成も絶妙で、人物の心理を絵からだけでうかがうことが出来ます。特にベッドの中で貴明を想う愛佳。その瞳の表現、微妙な変化、台詞がなくても、想いが伺えます。かわいすぎですよ。そしてほんのりとえっちで素晴らしい。同構図を見開きで複数コマ連続させる効果が非常にうまく生かされています。同じ効果が、2ページ(32〜33ページ)にわたったキスシーンですね。そしてすごくリアリティがあるようにも思います。たぶん本当に想いが強いとき、そこには実直な言葉しかなくて、そして静かな言葉のない時間が続いているだろうな、とそんなことを実感させてくれる表現でした。
他のキャラクター―由真、るーこ、郁乃、雄二たちが愛佳に対していい役回りをしているのも読んでいてうれしいところです。ゲーム本編の不足点を補完してくれています。
それと愛佳の私服がイイと。これも指摘しておかなければなりません。