みずしな孝之『けものとチャット』第1巻

けものとチャット (1)

けものとチャット (1)


みずしなさんの『幕張サボテンキャンパス』の、賑やかしい、ある小さなコミュニティーのまとまりの、あの空気感を久々に読むことができた気がする。『サボキャン』の人間のキャラクターが猫に置き換わった感じ。この空気は台詞まで全部手書きで、柔らかな手仕事というイメージの、紙面全体から発してくるものなのだろうな。

私、毛野本茶々。15歳。
ごくごくフツーの高校生。ただ、他の人とひとつだけ違うのは…
猫の言葉がわかっちゃうの。

すんごくかわいくない猫たちがなんともいいのですよ。人間くさすぎるというか、実に猫が喋ったらこんな感じだろうという妙なリアリティー。こういうストーリーは気づきそうで気づかなかったポイントかもしれない。
「クワッ」「フシャー」「ドーン」という擬音が似合いそうな、ツッコミ的勢いオチが、いつもいい味を醸しているなと思うのだけれど、動物物となると、さらにそれが加速しているなあと。