『遥かに仰ぎ、麗しの』

続き。第10話終了――クリスマス・パーティの夜まで。2時間半ほど。


リーダさんからの夜の中庭での相談から再開。
前回の感想の最後で触れた、アルバムにある、ひざを抱えるみやびのCG。そこに、同じ場面にまたつながるのか! 学園分校の存在理由の真の企図が示された時点で、みやび自身の風祭の家における意義も危ういものとしてほのめかされていたわけだけれども、そうだとすれば、この学園の総体がが内包する問題は、みやびという一人の女の子が抱える苦悩ともつながっている、直結しているように思われる。また、このゲーム冒頭、司がバス停を降り立ったときに、最初に周囲の風景に感じた陰鬱さがそれを象徴していて、やっぱり司自身のこれまでの苦悶につながっているということなんだろうか……。
さらに「理事長」「風祭」「みやび」と、いくつもの呼び名が出てきていたから、その呼称はなんらかの意味を持つのだろうなと思っていた。それがここか。呼び方が変わる、つまりは関係が変化するのだけれども、一気に距離が詰まるというわけではないのか。うーん、司の保つ距離というのは、彼の境遇から、その必然性が解されるような気はするのだが……実のところ、みやびが「言い訳」と判断するそれは、どういうものなんだろうな。やはり「家族」に関するもの?


というわけで、現状、おさまるべきものがおさまるべきところにおさまっていない感覚につきるし、心懸かりも残されたまま。でも、何だろう、先行きは信頼できる感じがあるので、不安を抱えつつも、それでも沈まず読み進めていけるのでありがたい。そして最後は、みやびが司の幸せを願う場面、いいな。ああ、ようやっとここまできたかという感じ。


それにしても、みやびとリーダさんが司によせる信頼というのは心地よい。いいよね。こういう信頼を寄せてくれるならば、その信頼だけで、どこまでもがんばれるような気がする。